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ラブナイト第22夜終了しました。
いしいしんじさんの「その場小説」は、会場にいながら、会場でないどこかへイメージの旅をしているような、はじめての時間でした。
満員御礼、ご来場ありがとうございました!







 


安齋さんのペインティングとともに。

安齋肇さんをゲストにお迎えしたラブナイト第二十一夜、終了しました。
ご来場どうもありがとうございました!

爆笑トークと素敵な絵による幸福な時間。海のような方でした。






小島ケイタニーラブはバンド編成で。
レコーディング中のアルバム「it's a cry run.」のレコーディングメンバーでもある、
田中佑司さん、村上啓太さん、平田崇さんが参加してくれました。







毎月開催しているラブナイトはあと2回で終わります。
そして、ゲストをお招きする回は次回で最後。
2/11(木祝)ラブナイトのゲストは、作家のいしいしんじさん。
詳細は、こちらをご覧下さい→ http://lovenightrain.jugem.jp/?eid=156




 

ラブナイト第十三夜のラストを飾るのは、エリカさんとラブナイツによるセッション。
今回のエリカさんを巡る旅を通じて、小島が新たに書き上げた曲が「つじつまの新世界」でした。
事前のインタビューでエリカさんが注目しているというドヴォルザークの「新世界より」に着想を得て、この曲は作曲されました。
 
ドヴォルザークの「新世界より」は、1893年にアメリカでコロンブスのアメリカ大陸発見400周年を記念してシカゴ万博が開催され、その際ヨーロッパから呼び寄せられた彼が作曲したものです。
このシカゴ万博は初めて巨大観覧車が設置されたり、交流電流が採用されはじめて大規模に電気の使われた万博だったりと、多くの“新しい”を含んでいました。
そういったシカゴ万博の要所要所とドヴォルザークの「新世界より」は密接な関係があり、シカゴ万博のきっかけである、コロンブスのアメリカ大陸発見を良くも悪くも重要なことと考えるエリカさんにとって、「新世界より」も同じく重要な鍵となってきます。
 
この“新世界”はエリカさんの最新作『マダム・キュリーと朝食を』にも登場します。
 
そしてさらに、この「新世界より」は邦題では「遠き山に日は落ちて」や「家路」として有名です。今回のラブナイツによるエリカさんを巡る旅は、言うなれば、エリカさんの“家路”を巡る旅でもありました。
 
『モモ』では主人公のモモと時間泥棒が追われ追いかけ。
今回のセッションでは少女エリカと時間泥棒=ラブナイツが時間、記憶、光を辿って新世界を駆け回りました。
 
音楽のゲストには、音楽家・画家きたしまたくやさんをお招きして。

音、歌、エリカさんの朗読とドローイングが織りなす、ドヴォルザークの「新世界より」と同じ4章構成の「つじつまの新世界」セッションに、客席一同、飲み込まれていったのでした。
 

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小島:エリカさんお疲れさまでした。
 
エリカ:ありがとうございました。今回、ケイタニーさんの方からどこを読むかっていうのを全部決めていただいて。ちなみにこの『マダム・キュリーと朝食を』っていうのは、2011年、震災の年に生まれて、10歳くらいになった猫と少女が主人公なんです。猫は光を見ることができて、少女は彼女のお母さんとかおばあさんとかが光の声を聞くことができて、彼女はまだその声を聞くことができないんですけど、いつか聞けるようになって、猫に会えることを待ち望みながら光の中、時間を旅していく、という話なんですね。今回この組曲「新世界より」を作っていただくにあたって、ケイタニーさんに「ここを読んで欲しいです」ってバスのシーンを挙げていただいたとき、「あぁ、わたし子供のときに乗ってたバスのことを思い返しながら(この本を)書いてたんだ」って初めて思い出しました。
 
小島:そのシーンは、まさに一番前の席に座ってる場面なんですよね。
 
エリカ:ちょっとびっくりしました。
 
小島:今回、曲を作っていくうちに、最初の通学路から始まって、気づけばモモとか新世界とか、どんどん脱線しているように思ってたんですけど、結果的にエリカさんの内面世界に近づいて行けたんじゃないかなと。
 
エリカ:忘れてたことなんですけど、時間を辿ったり、遡ったり、時間の花を手に入れられるかということにずっと関心があったってことを思い出しました。
 
小島:今回の組曲の途中にプロジェクターでドローイングを紹介させていただいたんですけど、あれはエリカさんの描かれたドローイングなんですよね。
 
エリカ:そうですね、セッション的に何かできたらいいね、とお話をうかがっていて。バスで辿ってくださるっていうのと、こう日常の感じでっていうのは聞いていたので、用意をしてきたドローイングは日常の身の回りのものを描いたのを中心に、しかもちょっとVJスタイルで(笑)。あの、一回一回変わるので、リハーサルともまた違うイラストが出てて。
 
小島:そうです、VJスタイル。エリカさんはムービーで他のものを用意して下さってもいたんですけど、せっかくだからリアルタイムで手で動かせるようなスタイルがいいなと思って。感動しました。僕も演奏しながらスクリーンの様子がちらちら見えるんですけど、その瞬間ごとに、新しいインスピレーションとなって更にメロディが浮かんできました。
 
エリカ:良かったです。ドローイングって色々な描き方があると思うんですけど、わたしは絶対そのものの前に立ち止まって描いていて、写真と同じような感じのもっと長い版というか。家に帰ってから思い出して描いたりするような絵もあるんですけど、今回お持ちしたようなドローイングっていうのは、必ずその場所で目の前に見えた色までつけるっていうのをやってるんです。言ってみれば、それが上手いか下手かというより、そこの時間に、どこかにわたしがいたっていうことが大切で。自分の中でものになっていて、だから雨が降ったらドローイングが滲んだりとか、そういうのもそのままにしているドローイングなんです。そのシリーズの一環を持ってきたので、ちょうど時間っていうテーマと
 
小島:はい、まさにぴったりだと思いました。本当にありがとうございました。
 
エリカ:こちらこそ、まさか自分の10代のバスがこんな風な形で歌になるなんて嬉しいです。ありがとうございました。
 
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圧巻のセッションで幕を閉じたラブナイト。エリカさんの作品とルーツとの繋がりを知ることのできた貴重な時間でした。
 
ここでお知らせが二つ。
 
このラブナイトの模様をエリカさんが漫画で書き下ろしてくださいます!720日発売のSWITCHにてご覧になれますので、ぜひお手にとってみてください。
 
また、今回のラブナイトで生まれた小島ケイタニーラブの新曲「つじつまの新世界」を期間限定で公開!8月20日まで下記の特設サイトにて無料でダウンロードすることができます。
エリカさんが乗っていたバスの音から始まる「つじつまの新世界」、朝靄の中に一筋の光が射してくるような、新たな世界の幕開けにぴったりな一曲です。通勤、通学の車中、たまには視線を持ち上げて窓の外を眺めてみませんか。新しい世界が待っているかもしれません。
 
ダウンロードはこちらから。
「つじつまの新世界(小島ケイタニーラブ×小林エリカ)」
 
 
 
(写真:朝岡、文:SWITCHアシスタント)

エリカさんに人生相談を始めた小島。
ラブナイトレポート(第十三夜)寄り道デート編です。
 
小島:今回、「時間・記憶・光」っていうテーマでやってまして、時間の流れは"大人になっていくこと"とも大きく関わっていくと思っているんですけど、大人になるうえで、やっぱり欠かせないのはデートだと思うんですね。
 
エリカ:(笑)
 
伊藤:ちょっと強引にいったね。
 
小島:デートといえば、今発売中のkvina
 
伊藤:この『恋する東京 東京デートガイドブック』ぜひ読んでいただきたいんですけど…

エリカ:kvinaは田部井美奈さんというデザイナーの方、野川かさねさんという写真家の方、前田ひさえさんというイラストレーターの方と、わたしの4人で、この4人で東京のデートガイドブックを作りました。わたし自身はずっと東京生まれで東京育ちで、のみんなはそれぞれなのですが、とにかく全員東京をすごく好きで、もっと東京の街を楽しみたいし好きになりたいっていう気持ちがあって。
 
伊藤:ケイタニー、これ最初読んだ時にどういう気持ちになった?
 
小島:あの、本当になんか申し訳ないんですが、読んだ時の正直な感想は、「エリカさんちょっとなに言ってるか分かりません」っていう
(笑い)
小島:正直な感想なんですね。(笑)それで、伊藤さんはどうでした?
 
伊藤:僕は、「これは全力で俺が読むことを拒否している」って感じました。俺が読んじゃいけない本だ、って。(笑)
(笑い)
小島:これは、あの、褒め言葉でもあるんです。  
 
伊藤:あまりに濃いの、めちゃくちゃ濃いの。
 
小島:あまりに偏差値が高いというか。
 
伊藤:そこら辺の東京案内とかそういうレベルじゃないんですよ。濃さが。
 
エリカ:濃さがね、ちょっとあの
 
伊藤:尋常じゃない熱量なんですよ。
 
エリカ:ぜひ、女子にも男子のみなさんにも、その拒否感を味わってもらいたいですね。(笑)
 
伊藤:これ、読まないと本当に分からないと思うんですけど、本当にすごいんですよね。
 
小島:架空のデートをするコーナーとかあるんですよね。夏目漱石で
 
エリカ:はい、夏目漱石とデートに行くならどこに行きたいかとかをめちゃくちゃ一生懸命プランニングして、一日のデートルートをご紹介したり
 
伊藤:本当にすごい。こんな爽やかな装幀に騙されちゃいけないっていうか、本当に濃いんですよ。
(笑い)
 
小島:そうそう濃厚なんです。それで思ったんですけど、そもそもkvinaのこのメンバー構成というか、さっきおっしゃった色々な役割、小説家がいて、イラストレーターがいてっていうのは、僕らのラブナイツの構成とも近いんですよ。
 
小林:なるほど。
 
小島:近いんですけどなんか違うと。
 
エリカ:あら、違いました?(笑)
 
伊藤:熱量が半端ないです。
 
小島:そうそう半端ない。で、ぼくらなりにやっぱりアンサーを出さなきゃいけないと思って。これは言ってみれば、kvinaからのラブナイツへの挑戦状と勝手に受け取りまして
 
エリカ:おっ。
 
伊藤:負けてらんねぇ、と。
 
小島:そうなんです。そして実際このデートをしてみたらどうなるかっていうのを、ちょっと検証してみました。
 
エリカ:すごーい!すごい!(笑)
(笑い)
伊藤:全部はできなかったんですけど、この中にローマの休日をモチーフにしたデートコースがあるんですね。
 
小島:そうなんです、名コーナーがあるんです。これは、内容はどんな感じなんですか?
 
エリカ:説明していいですか?「休日は映画スターになりきって、ローマの休日のオードリー・ヘップバーンみたいにお忍び王女のつもりで。」で、「銀座の街を観光デート。今日だけは仕事も身分も脱ぎ捨てて恋をしよう。」っていう、大企画なんですけど。
 
小島:なるほど。『ローマの休日』を
 
エリカ:はい、あのオードリー・ヘップバーン主演の映画を、ご存知の方も多いと思うんですけど、やっぱりみんな『ローマの休日』の王女様になりたいよね、っていう気持を、ぜひ東京の街で実現したいっていう思いで。日比谷公会堂でジェラートを食べたりとか、ピエール・マルコリーニの。
 
伊藤:続々と出てきますよね。
 
エリカ:はい、続々とこう映画のストーリーを辿るように、現実的かつ素晴らしいデートをご提案してるんです。こう、ベスパの二人乗りもしてみたいよね、っていう気持ちを、無印良品で自転車借りようかなみたいな。
 
小島:その提案に乗りました。
 
エリカ:ありがとうございます!(笑)
 
小島:そして実際に、この(本の中の)女性と僕がデートをするという設定にしました。
 
エリカ:すごーい!
 
小島:デートブックと全く同じ場所を回って、全く同じ構図で、検証してみましたので。
 
伊藤:ただそれを小島ケイタニーラブというキャラクターでやってもしょうがないので、一応勝手にキャラ設定を妄想したんですよ。彼女は多分、20代中盤くらいで、デザイナーのアシスタントか
 
エリカ:あ、具体的なんですね。(笑)
 
伊藤:そう、それか中目黒のアパレル店員っていう話になったんですね。
(笑い)
伊藤:で、男は卸の営業。で、ちょっと年上なんですよね。彼女は休みが平日だから
 
小島:そうそう、平日デートなのね。
 
伊藤:平日デートだから、男は有給をとってデートに合わせたっていう。
 
エリカ:あー、それは結構いい設定ですね。
 
伊藤:そう、有給までとって合わせてくれたんです。ただ、彼はいつもスーツで、彼女は私服を見た事がなかったんです。どんな私服で来るんだろうって、ドキドキしてるんですね、はい。
 
小島:で、そんな彼女のこの位置から見えるデート相手の様子をどうぞ。

(笑い)
伊藤:彼ちょっとね、気合い入れすぎちゃったんですよね。
 
小島:そうそうそう。
 
伊藤:なんか色々混ざっちゃったんですよ。一応ジョニー・デップのつもりなんですけど。
 
小島:パーツ、パーツは凝ってるんですよ。
 
エリカ:面白過ぎる。(笑)これ、Tシャツ選びのポイントは何ですかね?
 
小島:まず、インパクトですね。
(笑い)
小島:彼はアピールしてるんですね、自分に潜むキュートな感じを。
 
エリカ:素晴らしいデートですね。理想的なデートが繰り広げられている
 
小島:でも、これ本当にデートブックのモデルの方の位置に合わせて撮ったんですよ。
 
エリカ:(笑)すごいですね。これはちょっとみんなに報告したいです。
 
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この後も皇居周辺をオードリー・ヘップバーンとグレゴリー・ペックさながらに、ヴェスパならぬ無印良品で借りた自転車で駆け抜け、東京の「真実の口」に恐る恐る手を突っ込んでみたり。
言葉で表すとなんともオシャレな東京デートですが、小島の身体を張った写真の数々に、笑いの絶えない会場でした。
 
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エリカ:いやぁ、素晴らしい!完璧なデートをありがとうございます。
 
小島:ラブナイツなりの東京デートガイドブックアンサーでした。
 
エリカ:これみなさんもぜひやって欲しいです。(笑)
 
小島:これね、楽しいですよ、やってみると。
 
エリカ:ラブナイツを越えるローマの休日をそれぞれ投稿してほしいですね。
 
小島:一番苦労したのは皇居周辺で。ここの場所が見つけにくくて。
 
エリカ:場所を探すところから始まるんですね。
 
小島:そうなんです。後ろの建物とか標識を手がかりに
 
エリカ:いやぁ、ありがとうございます。
(拍手)
エリカ:こんな男子達がいたら惚れますよね、もうみんな。
 
小島:だといいですけどね。
(笑い)
小島:そんな感じで。あのこれもう、今発売中で。
 
エリカ:はい、今日ぜひみなさん持って帰って後で投稿して下さい、それぞれのデートを。(笑)
 
伊藤:これ、他のデートの内容もすごい濃いし、何よりも最後の付録的なものが衝撃的なので、あまり詳しくは言わないですけど。
 
小島:衝撃のラストが待ってますから。
 
エリカ:ぜひぜひ、よろしくお願いします。ありがとうございました。今日こんなデートが待ってるとは全然知らなかったのでびっくりしました。
 
小島:サプライズできたならよかったです!
 
エリカさんとバス、光、記憶...。バラバラだったピースが小島とラブナイツの手によってそっと寄せ集められ、彼らの音楽と彼女の言葉・絵を織り交ぜることで躍動感溢れる、美しいセッションが生まれました。そのセッションがラブナイトのラストをかざります。
次回、ラブナイトレポート最終回です。
 
(写真:朝岡、文:SWITCHアシスタント)
 
 
 
 
 

小林エリカさんが小学生から高校生の12年間乗り続けたバス。そのバスに、エリカさんが乗っていた頃と同じ始発のバスに乗り込むところから、今回の旅は始まりました。
 
エリカ:人生のうちで、自分の子供のころに乗ってたバスをそんなに探検してもらえることがあるとは思ってもみず。
 
小島:そうなんです、で、せっかくなのでその報告を兼ねて、今からちょっと見てもらいたいと思います。(バスの写真を出して)これ、見覚えありますか?
 
エリカ:そうですね。これみんな関心あるのかな?(笑)あの、ちなみにわたし、光が丘の近くに生まれてて、関越自動車道の近くの東京郊外育ちみたいな感じです。団地育ちではなくて、普通のちょっと畑とかがある感じの。
 
小島:そこから、このバスで通ってたわけですよね。
 
エリカ:そうですね、バスで高円寺まで通ってたんですけど、毎朝始発で通っていて。バス停に並ぶんですけど、バス見なくてもバスの音が分かるようになってて。
 
小島:もう音で。
 
エリカ:音でバス来たな、って。
 
小島:あの、実はこれエリカさんが乗っていたのと同じ始発のバスなんですよ。
 
エリカ:始発って610分ぐらいなんですよね。むちゃくちゃ早くて
 
小島:そうなんです、まさにこのバスだったんですね。あの、エリカさんに話をうかがったときに、運転手さんの後ろの席が大好きで、いつもそこで本を読んでたってうかがったんですけど
 
エリカ:お気に入りの席があって、しかも始発で最初のバス停から乗るので、大体メンバーが決まってて、大体誰がどこに座るかも、イスは完璧に決まっていて。
 
小島:秩序があるんですね。
 
エリカ:そう、秩序を保ったまま、進んでいくっていうバスでしたね。
 
小島:その一番前の席に座っていたと。ということで僕もそこに座ってみました。(写真指差し)ここで僕が何を持っているか当ててください。
 
エリカ:?(笑)

小島:僕はいったい何を持ってるかというと、これです、『モモ』。実はエリカさんが昔、まさにこの席で読んでいた本だとうかがいまして。
 
エリカ:そうですね、12年間バスのなかの行き帰りで読書するっていうのがずーっと続いてて、一番読書がはかどるところで。「何を読んでたんですか?」って聞いていただいて、色々年によって変わってくるんですけど、『モモ』が一番印象深かったので。
 
小島:ハラハラしながら読んだりとか楽しい気持ちで読んだりとか、色々思い出と繋がりそうでいいですよね。バスで読むっていうのは。
 
エリカ:そうですね。本当に。
 
小島:ちなみに『モモ』は、僕もしばらく読んでなくて、ちょっと内容を忘れかけてるんですけど。モモが時間泥棒と戦う話なんでしたっけ?
 
エリカ:そうですね。時間を取り戻す、みたいな話なんですけど。ミヒャエル・エンデ、素晴らしいんですよ。
 
小島:何遍も読まれたりしたんですか?
 
エリカ:はい、やっぱり、わたしの中で『アンネの日記』と『モモ』がすごく原点になっているというか、この2冊があって作家になりたいと思ったんです。大人になってから読み返してみたら、エンデって本当に物語の人なんだなって思って。文章のどこか一行を抜き出そうと思ったときに結構抜き出せなくて、こうビシッと決まったポエティックな一文があるっていうよりは、ページを繰る感じで全体が素晴らしいっていう。ストーリー全体ですごく魅せていく作家なんです。「ああ、こういう物語のワクワク感ってここにあったな」ってすごく思います。
 
小島:じゃあエリカさんの中には『モモ』が流れてるんですね、脈々と。
 
エリカ:それですごく不思議だったのが、よくよく考えてみたら実はアンネ・フランクとミヒャエル・エンデって同じ年の生まれで。
 
小島:へぇ。
 
エリカ:1929年生まれなんですよ。だから片やアンネ・フランクがユダヤ人で、オランダの隠れ家に隠れて日記を書いていたっていうのと、片やエンデってドイツ人なので、ナチスドイツの側で一回徴兵されかけるんだけど、逃げ出して伝令として抵抗運動をしてたっていう。そんなエンデが生き延びて、大人になってから『モモ』を書いたんだなって思うと、ちょっとびっくりして。
 
小島:ああ、不思議な符合があるんですね。
 
エリカ:そうそう、そうなんです。
 
小島:じゃあ、まだまだ『モモ』はこれからも読み続けることになるんでしょうね。
 
エリカ:ねー、何年かごとに読みたいと思ってるし、ぜひ読んでない方は読んで欲しいです。素晴らしい本です。
 
小島:あとでぜひちょっとだけ朗読してください。
 
エリカ:はい。
 
小島:そんな感じでエリカさんは当時『モモ』など色々な本を読んでいらっしゃいました。で、通学中のエリカさんのところからどういう景色が見えるかというと、えー、こういう感じですかね。(写真指差し)運転席を覗いたりしたんですか?
 
エリカ:あー、でも当時はそんなに覗ける隙間がなかったですね。
 
伊藤:ああ、なるほど。
 
小島:そうか、色々と変わっちゃってるんだ。
 
エリカ:あと季節ごとに光がすごく変わるんですよ。それがとっても印象的で。やっぱり朝一番なので冬だと暗いうちだし、ホームに着いた時にちょうど影が長いとか。そういうのがすごい良かったですね。
 
小島:光は僕もすごく感じました。読んでると本に朝の光が当たるんですね。で、道を曲がるたびに、光の射し方が変わったりして、むしろ光の方が気になって全然読みやすくないんですよ。12年間ここで本を開きながら、きっとエリカさんのそばにも常に光があったんじゃないかなというのが、実際に乗ってみて感じた感想ですね。
 
エリカ:すごい分析して下さってありがとうございます。
 
伊藤:なんか以外と眩しかったんだよね、車内がね。
 
エリカ:朝の光が。
 
小島:そう、眩しかったな。
 
エリカ:でもバスの中で本読むのってすっごく良いんですよね。気持ち悪くなっちゃう人もいると思うんですけど、慣れてくると読めるようになる。
 
小島:やっぱり今でも読んだりするんですか?バスに乗ったら。
 
エリカ:結構久々だとやっぱり気持ち悪くなっちゃうので、もう読めないと思うんですけど。
(笑い)
小島:なるほどね。じゃあ実際この通学路をもうちょっと行ってみましょうか。
 
(この後もエリカさんの母校の周りを怪しまれないように散策した話や、エリカさんがバスの音を聞き分けることができる(!)ということでバスの音当てクイズなどをして盛り上がりました。)
 
小島:そんなわけで、エリカさんのルーツを勝手に振り返ってみまして。なんで僕たちがそもそもこんなことをしたのかと言うと、やっぱり僕は歌手なので歌を作りたいと思ったわけです。それでエリカさんにまつわる旅をして歌が生まれたらいいなと思って、歌を作ったんですが。今までの要素を全部歌に詰め込みましたので、あとでやりたいと思うんですけど、ちょっとその前に、このまま歌をやってしまうのも勿体ないので、少しエリカ先生にうかがいたい。それはエスペラントの先生じゃなくて、人生の師匠としてうかがいたいことがあるんですけど
 
エリカ:それ大丈夫ですかね、はい(笑)。
 
なにやら改まった調子の小島さん。人生の師匠と仰ぐエリカさんにいったいどんな“人生相談”をするのでしょう。次回に続きます。
 
(写真:朝岡、文:SWITCHアシスタント)


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イベント「ラブナイト」の制作日誌です。開催報告・次回予告はもちろん、制作チーム"ラブナイツ"の面々からのお知らせや制作期間のサイドストーリーなどを御届けします!








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